トヨタ・セリカは、1970年から2006年まで生産されたトヨタ自動車の2ドアスポーツカーで、日本国内外で人気を集めたモデルです。スポーツ性能と手頃な価格を兼ね備え、特に若年層に向けた「カジュアル・スポーツカー」として位置づけられていました。以下、世代ごとの歴史について簡単に紹介します。
初代 (A20/A35型, 1970–1977年)
初代セリカは、1970年の東京モーターショーで発表され、翌年発売されました。このモデルはトヨタが初めて開発した本格的なスポーツクーペで、スタイリッシュなデザインが特徴です。エンジンは1.4Lから1.6Lまでの4気筒エンジンが搭載され、特にGTモデルには高性能な2T-G型DOHCエンジンが用いられました。ラリーレースでも活躍し、スポーティなイメージが強まりました。
2代目 (A40/A50型, 1977–1981年)
2代目セリカは、より角張ったボディデザインに進化し、アメリカ市場向けの設計も取り入れられました。この世代からボディバリエーションにリフトバックが加わり、セリカはクーペだけでなく、よりスポーティなファストバックスタイルでも人気を博しました。エンジンラインアップも強化され、引き続きGTグレードなど高性能モデルがラインアップされました。
3代目 (A60型, 1981–1985年)
3代目では、セリカはさらに直線的でエッジの効いたデザインになり、全体的にシャープな外観が強調されました。1982年には、FR(後輪駆動)からFF(前輪駆動)に変更されました。また、1983年には、スポーツ志向をさらに強化した「セリカ・スープラ」(日本名:トヨタ・スープラ)もデビューしました。
4代目 (T160型, 1985–1989年)
4代目は、ついにFF(前輪駆動)に転換したモデルで、セリカのスタイリングも大きく進化しました。リトラクタブルヘッドライトが採用され、流線型のデザインが特徴です。1986年には4WD(四輪駆動)モデルが追加され、1988年にはターボエンジンを搭載した「セリカGT-FOUR」が登場し、ラリーレースでも成功を収めました。
5代目 (T180型, 1989–1993年)
5代目セリカは、さらに洗練された流線形のデザインが特徴で、リトラクタブルヘッドライトが継承されました。この世代では特にラリーレースでの活躍が際立っており、GT-FOURは1990年の世界ラリー選手権(WRC)で成功を収め、セリカのスポーツイメージがさらに強化されました。
6代目 (T200型, 1993–1999年)
6代目は、デザインがより丸みを帯びたスタイルに変化し、セリカの中でも特に未来的な外観が際立ちます。GT-FOURは引き続きWRCでのラリー活動に使用され、トヨタのラリープログラムにおいて主要な役割を担いました。しかし、1995年にGT-FOURがWRCから撤退したため、以降はGT-FOURの生産も終了しました。
7代目 (T230型, 1999–2006年)
最終世代の7代目セリカは、スポーツクーペとしてのエッセンスを再定義し、軽量ボディと高出力エンジンを搭載しました。デザインは非常にシャープで、当時のトヨタのデザイン言語を反映しています。エンジンは1.8Lの1ZZ-FEおよびハイパフォーマンスな2ZZ-GEが搭載され、FFのみが提供されました。しかし、2006年に生産が終了し、36年にわたるセリカの歴史が幕を閉じました。
セリカは、その時代に応じたデザインと技術で、トヨタのスポーツイメージを象徴する車種として愛され、今も多くのファンに支持されています。