「書棚を占領する蔵書を一気に手放したい」「遺品整理で数千冊まとめて処分しなければならない」——そんな時、事前準備の差が査定額にも手間にも大きく影響します。本記事では、古本・古書の大量売却で失敗しないためのポイントを、買取店の視点と実際の現場経験を交えて徹底解説。読み終わる頃には、最適な売却方法とチェックリストを手に入れられます。
1. 大量買取でまずは確認しておきたいこと
まず大量の古本、古書とは何冊のことでしょうか?
10冊でも大量と思う方もいますが、今回の大量買取の大量は1000冊以上ということで話を進めていきます。
単行本1000冊はよくある100サイズの段ボール箱で20箱程度。
コミック1000冊ならば17箱程度、文庫本1000冊ならば12箱程度です。
今回の大量の古本は1000冊以上ということで話を進めていきます。
1-1. おおよその冊数 — 数え方/伝え方
お問い合わせでよくあるのが、とにかくたくさんある、100冊以上という表現です。
正確な冊数は必要ありません。
おおよその箱数で知らせる
段ボール箱に入れたとしたら、だいたい何箱になりそう?で大丈夫です。
21箱か22箱かといった正確な数は必要ありません。
古書店が知りたいのは5箱なのか、20箱なのか、50箱なのか。
100冊なのか、1000冊なのか、10000冊なのかというところです。
本棚の大きさで知らせる
現在、本棚に入っているとしたら、その本棚のサイズを説明するといいでしょう。
幅90センチ、高さ150センチくらいの本棚が5本あって、そこに本がぎっしり詰まっています、で見当がつきます。
1-2. すべて処分したいのか、値段がつくものだけ売りたいのか?
「全部引き取ってほしい」と「高く売れる本だけを選別したい」では、対応できる業者と見積もり方法が変わります。
全部処分派 → 処分費を取る業者もあるので“無料引取の可否”を確認。
選別派 → 高額本だけを抜き取るなら、残りを自治体回収や他店に回す手間を想定しておく。
事前に意向を伝えることで「後から処分費が発生した」「持ち帰ってもらえなかった」というトラブルを防げます。
1-3. 処分の期限
引っ越しの退去日が決まっている場合など、片付けなければいけない期限が決まっている時は必ず伝えましょう。
買取繁忙期(3〜4月、9〜10月)は予約が埋まりやすいですし、土日祝日は予約が入っていることも多いため、早めに相談すると安心です。
2. 売る前に必ずやるべき事前チェックリスト
大量の本を売る前にチェックしておきたいポイントを確認しておきます。
2-1. 残しておく蔵書の抜き出し
思い出の本や将来読む予定の専門書はあらかじめ別箱へ。査定当日の慌ただしさで「うっかり手放した」が起きがちです。
また本棚には卒業アルバムや日記、手紙など私物があることもあります。
それらは事前に確認して、別の箱に入れておくか、処分しておくことをおすすめします。
別室やクローゼットに“残す本専用スペース”をつくり、張り紙を貼っておくと仕分けがはかどります。
2-2. 全集を揃える/付録を揃える
全集は欠巻があるだけで評価が大幅ダウン。書棚に点在しているようでしたら、集めておきましょう。
70〜90年代雑誌はポスター・小冊子の有無で数千円差がつくことも。箱の底や別棚に紛れていないか再点検を。
2-3. 状態を把握 — サインや蔵書印の有無確認
サイン本、限定本は査定の加点になるケースが多いので、メモを付けて目立たせると査定がスムーズです。
カビ・ヤケ・線引きなど減額要素も一覧にしておくと、当日の説明が短時間で済みますし、古書店の作業もスムーズに進みます。
2-4. 搬出の導線を把握 — 邪魔になるものは片付けておく
玄関〜本棚〜駐車スペースまで通路を確保。
本や箱を抱えて歩くことになりますので、人の幅よりも少し広めのスペースが欲しいところです。
また通路端に飾りなどがあると蹴飛ばされ傷ついたといったトラブルにもなりますので、片付けておいた方がよいです。
階段しかない場合やエレベーター制限は事前申告が必須。玄関から、台車が使えず、駐車場まで長距離といった事情も古書店に伝えておくと、人員を増やす手配ができてスムーズです。
3. 買取方法の比較|出張・宅配・店頭・ネットオークション
3-1. 出張買取:メリット/注意点/当日の流れ
メリット:運び出し不要・本棚にあるそのままでOK。
注意点:搬出時間は立ち会いが必要
よくある流れ:到着→打合せ→搬出→話し合いでその場で査定か事務所に持ち帰っての査定→買取価格提示→現金手渡しor振込
3-2. 宅配買取:梱包資材・送料・キャンセル可否を確認
ダンボール無料提供の有無、送料・返送料が自己負担になる条件を要チェック。キャンセル時の返送が着払いだと、高額本以外で赤字になる恐れがあります。
大量の古本ですと、現在、送料が高騰している為、事前査定なしでは受けてくれないことが多くなってきました。
よくある流れ:申込み→ダンボール箱に本を詰める(ご自身)→宅配業者依頼→発送→買取価格提示→振込
3-3. 店頭持込み:少量ミックス+希少本に向くケース
出張買取や宅配買取では引き取ってくれない書籍も引き取ってくれることも。
大量ですと、査定に日数がかかることがあります。
本を箱に詰め、車にのせ、店頭まで運ぶのはかなりの労力が必要となります。
3-4. 自力販売(メルカリ等):手間と時間、発送事故リスク
やってみた方ならわかりますが、写真撮影、商品説明記載、質問対応、在庫管理、梱包発送など手間がかなりかかります。
出品すればすべて売れるわけでもありません。
発送の事故や、思わぬクレームを受けることもあります。
4. 高価買取につながる4つのコツ
大量の古本、古書が高価買取になったケースをご紹介します。
・医学部の教授の蔵書で、専門性が高く、希少な本が多数。
・車のカタログが大量、1980年代以前が多く、トラックなど商用車多数。
・1970年代の週刊誌、アイドル雑誌が大量。
・写真集だけで2000冊。
・1980年代のゲーム雑誌が1000冊
以上のことからわかるように、何かこだわりがあって集めたものが高値になる傾向があります。
4-1. こだわりがある蔵書
「戦前の鉄道資料だけ」「80年代アイドル雑誌のみ」など強いテーマ性はコレクター需要が高いため、まとめ売りでプレミアがつきやすいです。
また雑誌では、気になったところだけ買ったというよりも、毎週欠かさず買っていて、それを保管していたということになるとまとめ売りがしやすいため高価買取になることが多いです。
買取を依頼する時は、鉄道関係ばかり30箱以上ありますなどと伝えるのがいいでしょう。
また、父が集めた、兄が残したなどと誰のものだったのかを明確にしておくのも話が早いです。
4-2. 価値の把握
ISBN検索やヤフオク、メルカリ等で価値を把握。
希少本ならば買取価格を提示している古書店もありますので、見ておき、市場価格を知っておくと、査定交渉や相場以上の“お宝本”発見に役立ちます。
4-3. 画像を撮影して複数店舗に相見積もり
背表紙が読める角度でスマホ撮影(1冊ずつ撮影する必要はありません)→LINEやメールで査定を複数社依頼することで相場の違いもわかってきますし、対応の違いも見えてくることでしょう。
4-4. 地元の店舗に依頼する
出張買取を依頼する場合、近隣で営業している古書店に依頼することが高価買取になるコツです。
理由は簡単で、近くの古書店の方が経費がかからないからです。
お宅に伺うだけで3時間かかったとなるとその分の経費分、査定額は安くなります。
しかし、専門外で、価値がわからないお店ですと、逆に安くなってしまうことも。
本が置いてあるところから片道1時間半ぐらいのエリアの古書店ならば、それで経費分、査定額を安くしようとはならないと思います。
5. こんな場合は専門店に相談しよう
5-1. 和本・浮世絵などの古典籍
保存状態、刊年、刷りの違いで価格が三桁変わる世界。一般古書店より専門鑑定士へ。
5-2. サイン本や限定BOXなどアイドル・音楽グッズ併載
本体+ポスター+チケット半券などセット価値で査定する店を選ぶと総額が伸びます。
5-3. 貸本漫画、古い漫画雑誌、芸能雑誌
貸本シール・書き込みはあってもOK。昭和30〜40年代はコレクター市場が確立しているため減額幅が小さいのが特徴です。
6. 売ってよかったと思う古書店の見つけ方
買取終了後は、気持ちよい取引だったと思いたいものです。
そうなるためには古書店選びが重要です。
6-1. 過去の実績 評判
ホームページにジャンル別の買取事例と金額が掲載されているか。写真付きなら信頼度がアップ。
日頃から動き回っているのかもポイントです。
大量の本の処分を依頼するのですから、大きな車を所有しているかも確認してください。
ハイエースならば一回で運べる量なのに、軽で来て、何日もかかったなんてこともあったりしますよ。
6-2. 電話やメールの対応
即レス・明瞭回答は評価ポイント。なんとなく人柄を見抜いてください。
6-3. 最後は顔で
出張査定の場合、搬出時間中に家へ上がることになります。身だしなみ・挨拶・説明のわかりやすさで安心感をチェックしましょう。
ホームページに顔写真を出しているお店は信用ができますね。
7. よくある質問(FAQ)
Q. 見積もりに料金はかかる?
A. 多くの業者は無料です。現地に来て、査定だけということですと、現在、LINEやメールで画像を簡単に送れますので、渋られることが多いです。
内容がよければ下見や事前査定も無料で受けてくれるところがほとんどです。
Q. キャンセル料はかかる?
A. 宅配買取では自己負担が一般的。高額本が混ざる場合は着払い可否を必ず聞きましょう。
出張買取で現地に来て、話が合わずにキャンセルということも稀にある話です。
顔を合わせてから断るもの気まずいものがありますので、事前に画像などを送っておおよその金額などを聞いておくことをおすすめします。
Q. 買取代金の支払い方法は選べる?
A. 店頭・出張は現金、宅配は振込が主流。高額の場合“後日振込のみ”のケースもあります。
Q. 出張買取時の箱詰め、搬出は店側に任せても大丈夫?
A. 任せて大丈夫です。むしろ自分たちのペースでやりたいので手伝ってほしくないと思っている古書店もあります。
8. まとめ|手間を減らし、高く売るコツは“準備と比較”
✔ 冊数・期限・処分方針を先に決める
✔ 残す本・全集・付録を事前にチェック
✔ 出張・宅配・店頭の特徴を比較し、相見積もりで上限価格を把握
✔ 専門ジャンルは専門店へ、根拠を説明できる業者を選ぶ
最後に買取している古書店からのお願いです。
捨てないでください。
蔵書を処分しようと思ったならば、依頼した古書店が来るまで、本やその周辺にある紙類を捨てずにそのままにしておいてください。
「そんなようなカタログもっといっぱいあったけど捨てちゃったよ」
「付録のポスターは売れないと思って捨てちゃった」
「帯はゴミかと思って捨てちゃった」
といった言葉を現地でよくお聞きして、それ凄いお宝、その一点で、この総額よりも高いですよということもあったりします。
過去にはタンスの裏に貼ってあったポスターに気がつき、買い取らせて頂いたこともあります。
ですので、古書店に依頼したら、捨てないで欲しいのです。どうしても捨てたいならば画像を送ってご相談を。
20代は関西を中心に放送作家
絵本、小説で受賞歴有
2000年よりネット古書店A-BOOKを経営
今はライブやフェスが楽しみ