【持込み買取】古笄 池田末松/三宅輝義 平成5年 中国パール販売 限定500部

ご依頼いただき、ありがとうございます!

エーブック店長よりコメント

刀剣の書籍をまとめてお持ち込みにてお譲り頂きました。

お譲り頂いたのはお家にあるものまとめて買い取り、処分をされる業者の方。

お目当ては刀剣そのもので、刀剣に関する書籍も多数あったものの、専門外なので当店にお任せしたいとお持ち込みになられました。

事前に本棚の様子を画像でお送り頂き、書籍のタイトルがはっきりとわかるものだけをピックアップして査定額を出させて頂き、それに納得して頂き、お持ち込み頂きました。

実物を見せていただくと、画像ではわからなかったものの中にも高額で売買されているもの、貴重な書籍があり、最終的には事前査定のちょうど倍額になり喜んで頂きました。

それでは今回お譲り頂いた中で特に印象的だった一冊をご紹介。

「古笄」池田末松/三宅輝義 平成5年 中国パール販売 限定500部

笄(こうがい)は、あまり聞き慣れませんが、日本刀の鞘に付属する刀装具の一種で、鞘の側面に設けられた笄櫃(こうがいびつ)に収められました。元来は髪を整えたり耳掃除に使う実用品でしたが、中世以降、武士のたしなみや装飾性を示すものとして大きく発展しました。棒状の形態を持ち、片端が匙状に広がり、もう一端は尖る構造をしています。材質には赤銅・鉄・銀・金などが用いられ、表面には彫金や象嵌が施され、美的・格式的な役割が重視されました。

古笄

とりわけ室町末から桃山、江戸初期にかけて作られた笄は「古笄」と呼ばれます。これらは華美な後代のものと比べ、簡素で力強く、武士の実用性と美意識が一体化した趣を持つのが特徴です。刀剣の装飾体系において、小柄(こづか)と対をなし、「大小揃金具」の一部として制作されることもありました。

古笄   

古笄師と流派

古笄の制作に携わった金工師は、刀装具史を語るうえで欠かせません。まず挙げられるのが後藤家です。後藤家は室町時代に京都で興り、将軍家の御用を務めた名門で、特に後藤本家の笄は格調高い意匠と精緻な高彫(たかぼり)で知られます。後藤家の笄は家格を示す役割もあり、武士階層において極めて高い権威を持っていました。

また、埋忠派も笄制作に優れました。埋忠明寿を祖とするこの流派は、桃山期にかけて鉄地に象嵌を施す技法を得意とし、武骨さと華やかさを兼ね備えた作品を残しています。笄にもその特徴が現れ、簡素ながら鋭い造形と力強い文様が見られます。

江戸時代に入ると、京金工江戸金工の工人たちが多数活動し、笄の意匠はますます多様化しました。特に江戸後期には加賀前田家お抱えの林派や、水戸の後藤分家などが活躍し、精緻な金銀象嵌や色金の組み合わせで豪華な笄を制作しました。しかし、これらは「古笄」というよりは後代の装飾的な笄に分類されます。

古笄

意匠と文様

古笄には、花鳥風月を題材としたものや、武具・軍陣具をあしらったもの、吉祥文様や中国古典を題材とするものなどが多く見られます。これらの意匠は刀の鍔や縁頭と揃いで作られることも多く、刀装全体の調和を意識した構成が取られました。たとえば後藤家の「四君子(蘭竹梅菊)」や「七宝文」などは、格式と美を兼ね備えた典型的な笄意匠といえます。

古笄

古笄の評価と位置づけ

古笄は、単なる髪用具の延長ではなく、武士の「身嗜み」と「権威」を示す刀装具としての性格を帯びました。とりわけ戦国末期から江戸初期の作品は、実用性と芸術性を兼ね備え、後世の金工品よりも重厚な存在感を持ちます。今日、古笄は刀剣収集や工芸研究の対象として高く評価され、後藤家・埋忠派などの作例は美術品としても希少価値が認められています。

総じて古笄は、武士が日常的に携えた刀を通じて、自らの生き方や美意識を表現するための重要な媒体でした。その簡素にして力強い意匠、名工による緻密な技術は、日本刀装具史における大きな魅力のひとつとして今なお研究・鑑賞の対象となっています。

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