- 愛知県一宮市
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エーブック店長よりコメント
お持ち込みで二玄社の『大書源』全3巻と別巻の全4冊をお譲り頂きました。
『大書源』(だいしょげん)は、書道に関する大規模な百科事典的叢書であり、書道史・書論・古典作品・主要書家・技法・用具など、多岐にわたる情報を体系的に収録した集大成的出版物です。写真のとおり上・中・下巻の三冊と、別巻(索引・図版・音韻資料・付録DVD・書道史年表など)で構成されており、二玄社によって刊行されました。二玄社は書道美術に関する出版を専門とする名門出版社であり、『大漢和辞典』のような漢字辞典や『書道全集』などの大規模叢書を手掛けてきましたが、その中でも『大書源』は、書の世界における基礎資料の集大成として評価されています。
内容面では、まず歴史的な展開を重視し、中国古代の甲骨文や金文、秦漢以降の隷書・楷書・行書・草書の成立と発展、唐・宋・元・明・清の主要書家とその代表作、さらには日本・朝鮮を含めた東アジア全体の書文化に及んでいます。各項目には豊富な図版とともに解説が付され、単なる辞典的用語集にとどまらず、研究者・実作者双方に有用な資料となっています。また「源」の名の通り、書の根源を明らかにすることを目的として、文字の造形美や構造、筆法の変遷を辿ることができるよう編集されています。
別巻に付属するDVDや音声資料では、実際の筆運びや書写の過程を視覚・聴覚的に体験できるよう工夫されており、単なる紙の辞典を超えて現代的な学習環境に対応した点も特徴的です。加えて、巻末に収録されている「書道史年表」は、古代から現代に至るまでの書道史を一望できる貴重な資料であり、研究の起点としても活用されています。
『大書源』は発行部数が限られ、定価も高額であるため、一般読者向けというよりは、大学や専門機関、書家や研究者向けに備えられることが多い書籍です。そのため古書市場でも比較的希少で、状態や付録の有無によって価格に大きな幅があります。とりわけ索引・付録・DVDが揃っている完備本は評価が高く、書道関連の研究者・愛好家にとっては必携の資料とされています。
総じて『大書源』は、書道という芸術と学問の両面をカバーする総合的な資料集であり、過去の巨匠から現代の愛好者まで、書を志す人々にとっての「知の泉」といえる存在です。発刊から年月を経てもなお、基礎資料としての価値は揺るがず、書の世界に足を踏み入れる者に確かな道標を与え続けています。
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