埋もれていた輝きに、もう一度光を ──姫乃樹リカという昭和アイドル

  • 東京都豊島区
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エーブック店長よりコメント

「埋もれた昭和アイドル」という存在

──姫乃樹リカさんという、静かに時代を生き抜いた歌声

昭和のアイドルというと、どうしても

「大ヒット」「伝説」「社会現象」

そんな言葉が先に浮かびがちです。

けれど実際には、その陰で

派手さはなくとも、確かな魅力を持ったまま時代を通り過ぎていったアイドルが数多く存在しました。

今回ご紹介する 姫乃樹リカ さんも、まさにその一人です。


爆発しなかったからこそ、忘れられやすかった

1980年代後半。

おニャン子クラブ以後の「集団アイドル」が落ち着き、

一方で90年代的な“個性重視”の時代が訪れる直前。

姫乃樹リカは、ちょうどその狭間に登場しました。

  • 強すぎるキャラクターを押し出すわけでもなく

  • 派手なスキャンダルや話題性に頼るわけでもなく

  • それでいて、歌や佇まいには大人びた空気がある

結果として

「悪くない」「むしろ良い」

でも語られにくい

そんな立ち位置に置かれてしまった印象があります。


姫乃樹リカ 年表(埋もれやすかった理由が見える)

1986年

  • 学研『Momoco』に登場
    姫乃樹リカポスター

  • TBS系『モモコクラブ』桃組出席番号1773番

    → 正統派・清楚系の路線で注目される
    姫乃樹リカポスター

1988年

  • ソロ歌手としてデビュー
    姫乃樹リカポスター

シングル・アルバムをリリース

→ 完成度は高いが、爆発的ヒットには恵まれませんでした

 

姫乃樹リカさんが発売したCDはシングル11枚
姫乃樹リカ名義
1硝子のキッス
2ときめいて
3もっとHurry Up!
4アンバランスに抱きしめて
5ロマンの騎士
6スタンド・バイ・ミー
7地上の楽園

 

西邑理香名義
8ナチュラル
9恋にさらわれて
10X’mas Love For Me
11異国のフォトグラフ

1989〜1991年

    • 雑誌グラビア・音楽活動を継続

      姫乃樹リカカレンダー1989年
      姫乃樹リカカレンダー1989年

      姫乃樹リカカレンダー1990年
      姫乃樹リカカレンダー1990年
      姫乃樹リカカレンダー1991年
      姫乃樹リカカレンダー1991年

  • しかしアイドル市場の急激な変化の中で露出は徐々に減少

1992年頃

  • 姫乃樹リカ名義を終了

  • 本名に近い 西邑理香 へ改名
    西邑理香名義サイン色紙

  • バンド「COMING SOON!」名義で活動開始

1990年代半ば

  • 音楽を続けるため渡米

  • 結婚・生活を優先し、芸能活動から長期離脱

2019年以降

  • 音楽活動を再開

  • 「姫乃樹リカ & THE COMING SOON!」として現在も活動継続中


「消えた」のではなく、「選び直した」

ここが、姫乃樹リカという存在の重要なポイントだと思います。

 

彼女は

  • 使い捨てられて消えたアイドルでもなく

  • 過去にしがみつく元アイドルでもない

一度アイドルという看板を降ろし、

自分の人生を選び直した人
です。

だからこそ、近年のインタビューやラジオ出演では

80年代のアイドル観、改名の理由、当時の葛藤を

とても冷静な言葉で語っています。

それは

「昭和アイドルのその後」を知る上で、

とても貴重な証言でもあります。


今あらためて、資料として価値が出てきている理由

姫乃樹リカ関連の雑誌やレコードは、

単体では高額になるものばかりではありません。

しかし、

  • Momocoなど80年代後半の掲載号

  • “売れ線”から外れた中堅アイドルのグラビア

  • 改名・路線変更前後がわかる資料

これらは

「昭和アイドルの多様性」を示す資料として、

年々見直されつつあります。

姫乃樹リカファンクラブ会報

姫乃樹リカファンクラブ会報「姫RIN」は1号から32号まで
号によっては手作り感があるものでした。
お手紙が入っていることもありましたね。

特に、

・売れなかった理由

・消えた後の人生

・再び表現の場に戻ってきた現在

まで追えるアイドルは、実は多くありません。

姫乃樹リカがアイドル時代に残した写真集やパンフレットは多いとは言えません。しかしそのどれもが輝きに満ちています。


買取の現場から見えること

当店でも、

「この人、当時好きだったんだよね」

そんな一言とともに、

姫乃樹リカが載った雑誌をお持ち込みいただくことがあります。

それは決して

“伝説級アイドル”への熱狂ではなく、

個人的な記憶と結びついた静かなファン心理です。

私たちは、そうした

数字では測れない価値も含めて、

資料として丁寧に向き合いたいと考えています。


最後に

昭和のアイドル史は、

スターだけで出来ているわけではありません。

語られにくかった存在に光を当て直すことで、

時代はもっと立体的に見えてきます。

姫乃樹リカは、

その「語られにくさ」こそが価値になり得る、

そんなアイドルの一人です。


姫乃樹リカさんのコレクションをお譲り頂きました。

 

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