- 岐阜県岐阜市
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エーブック店長よりコメント
3月に医学部を退官される教授から大量の書籍の整理、買取をお任せ頂きました。
その中から今回ご紹介するのはこちらの一冊。
「逸脱と医療化 悪から病へ」P.コンラッド/J.W.シュナイダー ミネルヴァ書房
『逸脱と医療化――悪から病いへ』は、社会における「逸脱」行動が、かつては「悪」として道徳的・法的に処罰されていたものが、近代社会の進展とともに「病」として医療や治療の対象へと変化してきた過程を明らかにする書籍です。
著者は、逸脱を「社会規範に違反する行動」と広く定義し、その逸脱行動に対して社会がどのように対処してきたかを歴史的・社会学的に分析します。特に、近代以前では犯罪や罪とみなされていた行動(例えば精神疾患やアルコール依存症)が、次第に「治療されるべきもの」として医療化されるプロセスに注目します。
この「医療化」という現象は、単に医学の進歩によるものではなく、社会の価値観や権力構造とも深く結びついていると指摘されます。例えば、少年犯罪においては、かつては厳罰主義で臨んでいたものが、現代では発達障害や精神疾患の可能性を考慮し、医療・福祉の枠組みで対応するケースが増えています。また、教育現場における問題行動も、叱責や懲罰よりも「カウンセリング」や「特別支援教育」といった医療・心理学的アプローチで対応されることが一般的になりつつあります。
しかし著者は、この医療化の流れには功罪があると警鐘を鳴らします。医療化は、個人の苦しみや問題に対してより柔軟な支援を提供する反面、逆に本人の社会的責任を曖昧にし、また医療・専門家によるコントロールが強化されるという側面も持っています。さらに、医療の枠組みの中に押し込められた結果、逸脱の本質的な社会原因(例えば貧困、差別、教育機会の格差など)が見えにくくなる危険も指摘されます。
著者は、逸脱の医療化がもたらす影響を多角的に検討しつつ、社会がどのように逸脱を理解し、対応していくべきかを問い直しています。医療化によるラベリング(診断名を付与する行為)や、それに伴うスティグマ(社会的烙印)の問題にも触れ、単純な「医療化=善」という発想に警鐘を鳴らします。
本書は、犯罪学、社会学、医療社会学、教育学など、さまざまな領域を横断する問題意識を持ち、現代社会における「病」と「逸脱」の境界を問い直す重要な一冊となっています。
現在、こちらの『逸脱と医療化――悪から病いへ』は定価7700円以上の価格で古本市場で売買されています。
ミネルヴァ書房から2003年に刊行されましたが、現在は「品切れ・重版未定」。
医療社会学や逸脱理論の分野で古典的な位置づけにあり、特に「医療化」という概念を理論的かつ実証的に分析しています。教育・犯罪・精神鑑定などの社会問題における医療化の影響を論じており、大学や研究機関での教材・参考文献としての需要が根強くあります。
今回の『逸脱と医療化――悪から病いへ』は蔵書印がありましたが、それでも問題なく売れていきました。
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