- 愛知県一宮市
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エーブック店長よりコメント
創刊号からかなり揃っての『月刊全生』が大量にお譲り頂きました。
『月刊 全生』は、整体指導者・野口晴哉(1911–1976)が主宰した整体協会の機関誌として、1964年3月に創刊されました。誌名の「全生」は、生命をまるごと生き切るという野口整体の理念を示しており、病気を敵視せず、身体の自然な働きを尊重しながら人間本来の生を全うするという考えを象徴しています。
創刊号以降、毎月発行され、野口晴哉自身の講話や随筆、会員向けの指導記事が多数掲載されました。特に、整体の核となる「活元運動」「愉気法」「体癖論」などの具体的な解説や稽古の指針がわかりやすく紹介され、読者が日常生活の中で実践できる内容が重視されました。また「風邪の効用」に代表されるように、病気を身体の調整作用として肯定的に捉える独自の病気観が繰り返し論じられたことも特徴です。
誌面は実践的な内容に加え、会員の体験談、家庭での手当や子育ての工夫、講座・講習会の予定や報告など、整体を生活文化として根付かせるための記事が多く掲載されました。さらに、文化的な要素として詩歌や随筆も取り上げられ、野口晴哉の妻・野口昭子の俳句が本誌を通じて広く紹介されたことも知られています。
表紙デザインにも特色があり、季節の草花や自然を題材とした絵画・写真が多く使われています。今回の写真にある1964年3月号から9月号までの初期の号でも、桜、山の風景、アヤメ、菊など四季折々の題材が配されており、単なる機関誌を超えて美しい生活文化誌としての性格を帯びていました。
『月刊 全生』は、野口整体の理論を体系的に伝える役割を果たしただけでなく、読者が「生きることそのものを学ぶ場」として機能し続けました。創刊から半世紀以上を経た今日でも刊行が続いており、整体思想を受け継ぐ人々にとって欠かせない学びの媒体であると同時に、日本の身体文化史を考える上でも重要な資料といえるでしょう。
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