- 静岡県静岡市
- 宅配買取

エーブック店長よりコメント
静岡県より宅配買取でお譲り頂きました。
1980年代から1990年代にかけて刊行された三省堂の『言語学大辞典』は、日本語による言語学研究を網羅的に体系化した、まさに“言語の百科全書”ともいえる monumental work(記念碑的著作)です。全5巻構成で、第1〜4巻が「世界言語編」、第5巻が「補遺・言語索引編」となっています。編集委員には柴田武、町田健、窪薗晴夫ら、当時の第一線の言語学者が名を連ね、日本国内のみならず海外研究にも通じる学術的水準を誇ります。
本書の最大の特徴は、その膨大な情報量と多角的な構成にあります。世界の主要言語のみならず、少数言語や消滅危機言語までをも収録し、それぞれの言語の系統・文法構造・音韻・語彙・社会的背景を精密に解説。音声学・構文論・意味論・社会言語学など、言語学の多様な分野を横断的に参照できるよう設計されています。英語・フランス語・日本語といったメジャー言語と並列的に、アフリカ・オセアニア・アジアの言語が扱われている点も、当時として画期的でした。
特に注目すべきは、図版や音声記号、系統樹などのビジュアル的要素を多く取り入れ、学術書でありながらも辞典としての可読性・参照性を高めている点です。専門研究者はもちろん、大学・図書館・言語教育機関でも長く利用され続けており、現在でも部分的に参照されることが多い標準的資料の一つとなっています。
古本市場においても本書の存在感は健在です。全巻揃いで状態の良いものは希少で、函や帯が揃っているとさらに評価が上がります。部分巻だけの流通も見られますが、研究・教育用途では「全5巻完備」が望まれるため、セットでの需要が高いのが特徴です。三省堂の大型辞典シリーズの中でも、出版当時の装丁デザインの美しさや、エジプト象形文字をモチーフにした背表紙の意匠など、書物としての存在感も抜群です。
『言語学大辞典』は、言語の多様性と普遍性を一望できる、日本語で読める最高峰の言語学資料集といえます。専門家にとっては基礎資料であり、言語や文化に関心のある一般読者にとっても、人間の「ことば」の歴史と構造を旅する一冊として、今なお価値を失っていません。
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