エーブック店長よりコメント
五井野正の書籍をお譲りいただきました。
今回お譲り頂いたのは以下の通りです。

1)ねこの王者のおしゃべり 創栄動物シリーズ 1979年
2)七次元よりの使者 第0巻(大霊感) 昭和54年7刷
3)七次元よりの使者 第1巻 昭和54年5刷
4)七次元よりの使者 第2巻 昭和53年2版
5)七次元よりの使者 第3巻 昭和55年初版
6)七次元よりの使者 祭りの前夜の巻 昭和56年6刷
7)七次元よりの使者 富士は燃ゆの巻 昭和56年4刷
8)新・七次元よりの使者 秘密の核シェルターの巻 昭和60年初版

五井野正とは?
五井野正(ごいの・ただし)は、日本の精神世界・オカルティズム系言論の中で、独自の存在感を放った著述家・思想家です。とりわけ『七次元よりの使者』シリーズに代表される一連の著作は、単なるSFやスピリチュアル読物にとどまらず、宗教観・宇宙観・文明論を横断する独特の思想体系を提示した点に大きな特徴があります。
五井野正の思想の中心にあるのは、「人間の意識は三次元的な現実に限定されない」という多次元的な世界観です。人類の歴史や宗教的啓示、さらにはUFO体験や超常現象までもを、“高次元からの介入”という一つの構図で再解釈していきます。その語り口は神秘的で、科学的実証とは距離がありますが、1970〜80年代のオカルトブームの中では、多くの読者に強い説得力をもって受け入れられました。
『七次元よりの使者』において五井野正は、人類が迎えている文明的転換点を、霊的進化のプロセスとして描いています。核兵器、環境破壊、政治の混迷といった現代的問題を、単なる社会構造の失敗ではなく、「意識段階の未成熟」と捉え、そこからの脱却の道を“高次元の叡智”に求める姿勢が一貫しています。この点で彼の著作は、終末論的でありながらも、同時に強い救済思想を帯びています。
また、五井野正の大きな特徴は、思想を難解な哲学用語で固めるのではなく、物語性のある語りで提示したことにあります。彼の本は論文というよりも、「啓示の書」「予言の書」に近い形式をとり、読者を一種の精神的冒険へと誘います。そのため、専門家層よりもむしろ一般読者や若い世代、精神世界に関心を持つ層に広く浸透していきました。
一方で、五井野正の思想は批判とも常に隣り合わせでした。学術的裏付けの乏しさや、陰謀論的な構図、宗教的カリスマ性への警戒など、懐疑的な視線が向けられることも少なくありませんでした。しかし、それでもなお彼が一定の読者に支持され続けたのは、「この世界はもっと大きな意味を持っているのではないか」という根源的な問いを投げかけ続けたからにほかなりません。
五井野正は、時代の不安と希望の狭間に立ち、オカルトと思想、SFと宗教を横断することで、独自の精神世界文学を築いた人物です。その著作群は、今なお一部の読者にとって、“もう一つの世界の地図”として読み継がれています。