【持込買取】日比裕泰著『動的家族描画法(K-F-D)』

ご依頼いただき、ありがとうございます!

エーブック店長よりコメント

エーブックのスタッフ青山です。

先日、リハビリ施設を経営されている方から、臨床心理学、心理検査法に関する書籍を多数お譲り頂きました。

その中で、臨床心理学・心理検査法の分野で読み継がれてきた専門書、日比裕泰著『動的家族描画法(K-F-D)―家族画による人格理解―』(ナカニシヤ出版)をご紹介させてください。

日比裕泰著『動的家族描画法(K-F-D)』

K-F-D(動的家族描画法)という心理検査

K-F-D(Kinetic Family Drawing)は、被験者に「家族が何かをしている絵」を描いてもらい、その構図や人物の配置、動作、筆致などから、家族関係の力動やパーソナリティの特徴を読み解いていく投影法の心理検査です。

日比裕泰著『動的家族描画法(K-F-D)』

表紙にあしらわれたオレンジ色の家族の線画は、まさにこの検査で実際に描かれるような、動きのある家族の様子を象徴的に表現したものだと思われます。

日比裕泰著『動的家族描画法(K-F-D)』

父親が工具を手にし、子供がおもちゃの車を押し、母親と子供が腕を組んで歩く――そんな何気ない日常の一コマを描かせることで、言葉にはならない家族内の関係性や緊張感を浮かび上がらせようとする、興味深い臨床技法です。

事例研究から見える、著者の丹念な仕事

本書のページを開くと、レヴィンの場理論(生活空間・行動の関数式)を引用しながら、「イチロウ」という登校拒否の事例を通じてK-F-Dの臨床的な解釈を掘り下げていく様子がうかがえます。単なる検査マニュアルにとどまらず、Allen(1970)やErikson(1968)といった心理学者の理論を参照しながら、家庭環境の変化とパーソナリティ形成の関係を丁寧に論じている点に、著者・日比裕泰氏の学究的な姿勢が表れています。

日比裕泰著『動的家族描画法(K-F-D)』

著者は滋賀女子短期大学教授(当時)として発達心理学やパーソナリティ検査の分野で著作・翻訳を重ねてきた研究者で、本書はその研究の集大成ともいえる一冊です。

1986年、ナカニシヤ出版からの初版

奥付を確認すると、1986年4月30日発行の初版第1刷であることがわかります。

日比裕泰著『動的家族描画法(K-F-D)』

臨床心理学や学校心理臨床、スクールカウンセリングに携わる方々にとって、K-F-Dは今なお実践の場で用いられる技法のひとつであり、その理論的背景を体系立てて学べる本書は、専門課程の学生や現場の臨床家からの需要が今も根強く続いているジャンルです。

日比裕泰著『動的家族描画法(K-F-D)』

長年にわたって版を重ねる類の一般書とは異なり、こうした専門書は流通量自体が限られているため、状態の良いものに出会えること自体が貴重だといえます。

大切に読み込まれてきた一冊

今回お譲りいただいた一冊は、経年による軽いヤケは見られるものの、本文用紙や製本の状態は良好で、長年にわたって研究・実践の資料として大切に扱われてきたことが伝わってきました。

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