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エーブック店長よりコメント
先日、リハビリを目的とした整体院を経営されている方から、大量の書籍をお譲り頂きました。その中で今回ご紹介するのは、サルヴァドール・ミニューチン著、信国恵子訳の『家族万華鏡』です。
家族療法の重要人物、ミニューチンの著作
『家族万華鏡』は、1986年6月に誠信書房から刊行された日本語版で、391ページ。原著のタイトルは『Family Kaleidoscope』です。原著は1984年にハーバード大学出版局から刊行されています。
著者のサルヴァドール・ミニューチン(Salvador Minuchin)は、家族療法の分野で非常に重要な人物です。

特に知られているのが「構造派家族療法」と呼ばれるアプローチです。
個人だけを切り離して問題を見るのではなく、家族という一つのシステムの中で、それぞれの人間関係や役割、相互作用を見る。
そうしたミニューチンの考え方は、その後の家族療法にも大きな影響を与えました。
『家族万華鏡』というタイトルも実に印象的です。

万華鏡を少し回すだけで、同じ素材から別の模様が現れるように、家族というものも、誰の視点から見るか、どの関係に注目するかによって、まったく違った姿が見えてくる。
原著では、個人的なエピソード、事例、寓話、劇などさまざまな形式を用いながら、個人と家族、さらに社会・政治・法律などとの関係について考察しています。

「家族」を扱った本でありながら、非常に幅が広い
本書の内容を見ると、単純な「家族関係の本」ではありません。
離婚、再婚、家族内の関係、治療、裁判、暴力など、家族を取り巻くさまざまな問題が扱われています。
原著の目次にも「Patterns of Divorce(離婚のパターン)」「Patterns of Remarriage(再婚のパターン)」「A Day in Court(法廷の一日)」「Violence and Healing(暴力と癒し)」などが並んでいます。
現在の視点から読んでも、家族を一つのまとまりとして観察し、その中で人間関係がどのように形成されているのかを考える材料になる本でしょう。
今回お譲りいただいた一冊
今回の本は、昭和61年6月5日発行の第1刷。

表紙を見ると、白地に紫と金色を使った幾何学的なデザインが印象的です。
本のタイトルである「万華鏡」を思わせるように、三方向へ伸びる人の姿のような図形が組み合わされており、1980年代の心理学・精神医学系の専門書らしい、少し独特な装丁です。

本文を開いてみると、単なる理論書というより、実際の人間関係や家族をめぐる具体的な場面が描かれていることが分かります。
また、巻末には訳者紹介も収録されています。
信国恵子氏は1941年生まれで、国際基督教大学大学院修了後、ファミリー・セラピストとして活動されていたことが本書の訳者紹介から確認できます。
古本を扱っていると、こうした専門分野の本に出会うことがあります。
一見すると非常に専門的な一冊ですが、その背景を知っていくと、1980年代の日本で海外の家族療法がどのように紹介されていたのかという、出版史・心理学史の面からも興味深く感じられます。
エーブックでは、このような専門書も含め、ジャンルを限定せず幅広い本をお譲りいただいております。
一点ずつ内容を確認しながら、できるだけ早く次に必要とされる方へ本を届けられるよう仕事をしています。
仕事を早く進めることは、単に作業時間を短くするという意味ではありません。
お客様の負担を減らし、その分を本そのものの価値を見極めることに使う。
それがエーブックの古本に対する基本的な考え方です。
今回の『家族万華鏡』も、専門書を必要としている方のもとへ、また新しい読者との出会いがあればと思います。
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