- 埼玉県川口市
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エーブック店長よりコメント
毎日、過去にエーブックに入荷した貴重な書籍をご紹介しています。
ご紹介している本はすべて販売済みですので、お問い合わせを頂いても在庫はありません。よろしくお願いします。
本日は日本の刺青文化を記録した稀少な研究書、玉林晴朗著『文身百姿』(日本刺青研究所)をご紹介させていただきます。

「文身」という日本の伝統技術を記録した一冊
「文身(ぶんしん)」とは、いわゆる刺青・入れ墨を指す言葉です。本書は、そうした日本の伝統的な刺青文化を、実際に施術を受けた人々の写真とともに記録した資料書で、著者・玉林晴朗氏の生涯にわたる刺青研究の集大成ともいえる内容になっています。

奥付を確認すると、著者は明治31年生まれで、「下谷と上野」「秋色と秋色櫻」「傳記聚芳」といった著作を重ねてきた研究者であったことがわかり、本書もその研究活動の延長線上に生まれた一冊であることがうかがえます。
一人一人の刺青に宿る、生きた記録
本文には、二匹の龍を腕に纏った女性の刺青や、全身に見事な文様を施した高齢の男性の姿など、当時実際に取材・撮影された刺青の数々が、施術の経緯や彫師の名、完成までにかかった期間などの詳細なエピソードとともに紹介されています。

「三ヶ月で仕上げてしまった」「純金を刺して居る」といった具体的な記述からは、単なる図版集ではなく、当時の刺青文化を生きた人々への丹念な聞き取りに基づいた、貴重な民俗資料としての性格が強く感じられます。

祭礼の場で刺青を誇らしげに見せながら練り歩く様子を捉えた写真からも、当時の刺青が単なる装飾ではなく、江戸の粋や心意気を体現する文化であったことが伝わってきます。
昭和11年初版、後年に版を重ねた資料的価値
奥付によると、本書は昭和11年に初版が刊行され、その後昭和62年に五版が発行されるなど、長きにわたって版を重ねてきたことがわかります。発行元は日本刺青研究所、発売元は恵文社となっており、専門性の高い研究テーマであるがゆえに、一般流通とは異なる形で長く読み継がれてきたことがうかがえます。
刺青の歴史や民俗学、江戸から昭和にかけての庶民文化を研究されている方にとって、写真とともに当時の証言が残された本書は、他に代えがたい一次資料としての価値を持っています。
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